眼科編(4)高血圧の人は注意 緑内障と心肥大の意外な関係
年齢を重ねてくると心臓に問題を抱える人が増えてくる。たとえば心肥大だ。心肥大とは文字通り心臓の筋肉が厚くなる症状を言い、心臓の機能が悪い人は大抵この症状を伴う。心肥大になると息切れ、倦怠感、むくみなどを自覚する。放っておくと突然死することになりかねない。
心肥大を招く原因はさまざまだが、最も多いのは高血圧だ。高血圧になると心臓から全身に血液を送り出すために心臓に負担がかかり、その負担増により心臓(とくに大動脈に血液を送り出す左心室)の筋肉が厚くなる。
心肥大の人は何らかの心臓病のリスクを抱えていると考えなければならないが、緑内障の発症リスクが高まることも覚えておいた方がいい。実際、「心肥大は緑内障の発症と重症化リスクとなりうる」とする最新の研究論文が欧米のインパクトファクターの高い生物医学系雑誌電子版に3月15日に公開された。「自由が丘清澤眼科」(目黒区自由が丘)の清澤源弘院長が言う。
「この研究の目的は、緑内障と心臓の異常との関係を調べること。開放隅角緑内障の581人の患者(男性285人、女性296人)と緑内障のない595人(男性273人、女性322人)の群に分けて、それぞれ比較しました。参加者全員がハンフリー視野計で視野を測定し、心電図、および血圧測定を受けました。そのうえで、緑内障の発症と重症度に関与する心電図異常とその他の要因(年齢、眼圧、全身性血圧)を調べたのです。その結果、緑内障の発症と眼圧並びにいくつかの心疾患との有意な相関関係が明らかになりました。また、本来は一定のリズムの電気活動で動く心房が、無秩序に電気活動する心房細動や、心肥大と脈が遅くなる不整脈である徐脈が脳血流を減少させたり、眼血流にも影響を与える可能性があることがわかったのです」