糖尿病網膜症(2)治療法はレーザーや手術から注射へ
この病気は、進行の程度により3つに分類される。厳格な血糖コントロールで改善が期待できる「単純糖尿病網膜症」、網膜を走る毛細血管が閉塞して網膜が栄養不足に陥った状態である「前増殖糖尿病網膜症」、新生血管が多くみられ容易に出血する段階である「増殖糖尿病網膜症」だ。
治療にはいくつかの方法がある。レーザー治療(網膜光凝固術)は主に網膜の酸素不足を解消して、新生血管の発生を予防し、すでに出現してしまった新生血管を減らすことが狙い。正常な網膜の一部を犠牲にしてでも、これ以上糖尿病網膜症を進行させないためのものだ。むくみが減れば視力は上がるが、多くの場合、治療後の視力は不変かむしろ低下する。
硝子体手術は目の中の出血(眼底出血)や増殖した組織を取り除いたり、剥離した網膜を元に戻すが難易度が高い。かつては手術で失明する人も少なくなかったが、新たに登場した小切開硝子体手術で手術成績は安定した。
最近、注目されているのは抗VEGF薬を眼球内に注射する治療法。網膜に新生血管ができて血管から血液や血漿成分が漏れて網膜中央の黄斑部にむくみができるのを防ぎ、病状の進行を抑制する。