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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

葛城ユキさんはステージ4 腹膜がんは取り切れなくても減量手術を

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 抗がん剤は、パクリタキセルとカルボプラチンの併用が一般的。これに分子標的薬のベバシズマブを追加することもあります。

 どんながんであれ、手術はがんを完全に取り切ることが目的ですが、腹膜がんはすべてを切除できるのはまれ。その量を減らすことを目的とする減量手術が行われる数少ないがんです。

 特に卵管の先端には腹膜がんの元凶が潜んでいることが多く、子宮に広がることもよくあるため、卵巣と卵管、子宮も切除します。これに胃の下部からエプロンのように垂れ下がった腹膜を大網と呼び、この大網も切除するのが、手術の基本です。

 さらに転移が起こりやすい横隔膜、ほかの臓器の切除も不可欠になりますが、前述したように完全切除はまれ。大がかりで高度な手術ですから、婦人科腫瘍医を中心とした各科の連携が欠かせません。

 このがんは、遺伝が関与する家族性腫瘍の可能性もあるため、初回の手術の後にBRCA検査も行います。米女優アンジェリーナ・ジョリーは乳がんと卵巣がんの予防で乳房と卵巣、卵管を予防切除しました。その根拠となったのが、この検査です。その結果が陽性なら、PARP阻害薬のオラパリブやニラパリブの投与を考えます。

 葛城さんのご冥福をお祈りいたします。

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