重症化しづらい若者の感染が集団免疫をつくる インフルエンザに学ぶ
理由は最近の新型コロナによる死者は60代、70代以上に集中する一方で10歳未満もわずかながらいるからだ。実際、昨年12月7日から今年1月3日までに亡くなった人のうち、年代がわかっている5825人を調べたところ、60代以上は5664人(全体に占める割合97.24%)、70代以上は5368人(同92.16%)で、10歳未満が4人(同0.07%)だった。
その一方で10代から20代で亡くなったのは9人(0.16%)。どういう状況で亡くなったかはきちんと調べる必要がある。ただし、治療薬も治療のためのスキームもある程度確立したなかで、最も健康で自分で症状を周囲に伝えられるはずの年代で亡くなるということは、いまの医学では救えないケースだった可能性もある。残念ながら、いまの医療には限界があることを私たちはいま一度認識しなければならない。
■若い世代の自然免疫獲得が高齢者や乳幼児を守ってきた
「そのうえで集団免疫について考え直す必要があると考えます。現在の新型コロナの新規感染者を見ると若い世代は無症候性感染が多い。これはウイルスの毒性が弱まり、ウイルスが元気な若者を感染させても発症させるだけの力を失ったからではないか、と考えています。だからこそ私は、インフルエンザに学び若者が集団免疫の中心になることが可能だと考えています。ワクチン接種による免疫も大事ですが、接種者をいま以上に増やすことは難しいため、感染による自然免疫を繰り返し獲得し続けることと重ね合わせることで継続的に集団免疫を獲得し、ウイルスを寄せ付けない。人類がワクチンや治療薬もない時代にも、さまざまな感染症から集団を守れたのは、若い世代が無症候感染により自然免疫を獲得することで集団免疫が確立され、それが少数の高齢者や乳幼児を守ってきたのではないでしょうか。それを考えればいま、若い世代を自由闊達に活動させることは集団免疫の面でも重要ではないでしょうか」