初診時こそ患者さんとの信頼関係を築く一番大切なタイミング
「笑顔で診察室を出てほしい」「また来たい、と思える診察をしたい」──。私が外来をする際、常に念頭に置いていることです。
重要なのは、初診時。第一印象が後々までその人との関係性に影響を及ぼすということは、よくあると思います。「この人、信用ならない」と最初に思ったら、言うことなすことすべてがうさんくさく見えてしまう……。逆に、「いい人そう」「私のことを理解してくれそう」と思ったら、その方の言動をプラス寄りのイメージで捉えてしまう。みなさんも覚えがあるのではないでしょうか。
医療においても同様です。初診時こそ、患者さんとの信頼関係を築く一番大切なタイミングです。
現在の私の外来は、認知症“予防”が主体なので、認知症“治療”を主体とする外来よりも、患者さんがおひとりでいらっしゃるケースが多い。
とはいえ、3分の2ほどはご家族同伴で、そういう場合はどちらかというと同伴のご家族の方が受診に積極的。患者さんは我関せずの方もいれば、ご家族同様に受診に比較的積極的な方もいます。
いずれの場合も、私がまず話しかけるのは患者さんです。挨拶や自己紹介をし、同伴のご家族がいるなら、患者さんに同伴者とどういう関係かを伺う。なぜ今日受診したのか、どのような気持ちで受診したのか、患者さんの口から説明してもらう。
よくあるのは、患者さんがうまく説明できなかったり、口ごもったりしたときに、ご家族が代わりに説明しようとするパターン。そんなときは、ご家族に「ご本人と話させてくださいね」と伝え、患者さんと会話を重ねます。