永久歯が抜けても“第3の歯”が生える…「歯生え薬」にかかる大きな期待 来年にも臨床試験計画
さらに、入れ歯で欠損した部分を補っても、永久歯が生えていない部分から骨吸収が起こって顎の骨が溶け、顎が弱くなりやすい。成人後にインプラント手術を行う場合は顎骨の形成手術や移植手術が必要になり治療期間が10~20年かかるケースも少なくないという。
「また、通常は高齢期に起こるオーラルフレイルが、先天性無歯症の場合には発育が大事な時期に生じるので、十分な栄養の確保が難しく免疫力が低下したり、低身長や低体重など成長を大きく妨げたりする要因にもなります」
USAG-1は、第3生歯を含むすべての歯の成長抑制に関わっていると考えられている。歯生え薬の投与で永久歯が生えれば、根本的な治療法がない先天性無歯症の患者の希望になる。
「臨床試験で有効性と安全性が確認されれば、まずは先天性無歯症の患者を対象に30年の実用化を目標にしています。将来的には後天的に永久歯を失った人に対しても歯生え薬を発展させていきたいと考えています」