永久歯が抜けても“第3の歯”が生える…「歯生え薬」にかかる大きな期待 来年にも臨床試験計画
歯はわれわれの健康寿命に大きく関係していて、とりわけ高齢者では、歯の本数が少ないとあらゆる病気を引き起こすリスクが高まる。
「高齢になると心身の機能が衰えるフレイルの状態になりやすく、フレイルは口から始まります。『オーラルフレイル』と呼ばれるもので、口の機能が低下すると話す力のほか、噛む力やのみ込む力が弱まり栄養不足になりやすい。また、歯が失われた状態を放置していると噛み合わせがずれて体のバランスが崩れたり、栄養不足で筋力が低下して転倒したりするリスクも高まるのです」
噛む力が弱くなると脳が刺激されず脳血流量が減り、認知症の発症リスクを最大約2倍高めるとの報告もある。ほかにものみ込む力が弱くなると誤嚥性肺炎を引き起こして死亡するケースも少なくない。
しかし、日本では生涯にわたってすべての歯が残っている人は多くない。2016年に発表された厚労省の歯科疾患実態調査のデータによると、虫歯や歯槽膿漏、外傷といった原因で歯が1本以上失われた人は国内に約5800万人いると報告されている。全人口の約半数が歯を1本以上失っている計算だ。