堀田秀吾
著者のコラム一覧
堀田秀吾明治大学教授、言語学者

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

「パワハラ」はずっと残り続ける恐怖を相手に植え付ける

公開日: 更新日:

 1920年代に行われた、心理学者のワトソンとレイナーによる「アルバート坊やの実験」という有名な心理学の実験があります。アルバートとは、被験者である乳児の名前です。

 大前提として乳児は、大きい音に対して恐怖心を抱きます。大人でも、突然大きな音を鳴らされるとびっくりするわけですから、乳児や子供の恐怖は想像に難くありません。

 大きな音を出すと乳児(アルバート坊や)は恐怖心を抱く。この反応を利用し、ワトソンたちは、「白ネズミを見せてから、ハンマーで叩いた大きな音を鳴らす」というアクションを繰り返しました。その結果、アルバート坊やは白ネズミを見るだけで怖がり、泣き出してしまうようになってしまいました。白ネズミ=大きな音が鳴ると思い込み、アルバート坊やは白ネズミを反射的に怖がるようになってしまったのです。

 乳児の人権を無視しているため、この実験は大きな非難を受けました。一方で、「条件付け」を用いれば、人間に恐怖反応を起こせることを実証したのです。

 先のパワハラの例を思い出してください。パワハラをやめても、パワハラを行っていたAさんを見るだけで、被害者は精神的なダメージを被り続けてしまうのです。発達の形成において、環境は極めて重要な要因となります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題