米・英・日と続々発表される「糖尿病は治る」論文
また、寛解を促す要因として、65歳以上であること、糖尿病診断から2年未満であること、研究参加時点のHbA1c値が5.7%未満であること、研究参加時点で糖尿病治療薬が投与されていないことが明らかにされている。
米国の研究と日本の研究で寛解率が大きく異なる要因は、人種的な違いに加え、寛解に対する定義の違いが影響しているものと思われる。米国糖尿病学会は、21年に糖尿病の寛解に対する定義を変更しており、血糖値を下げる薬の中止後、少なくとも3カ月にわたりHbA1c値6.5%未満が持続した状態とした。日本の研究では、この定義に基づく寛解率を解析している。
22年には、英国で行われた大規模調査の結果も米国糖尿病学会誌で報告された。この研究では、2型糖尿病患者229万7700人が解析対象となり、米国糖尿病学会が21年に定義した糖尿病の寛解について調査が行われた。
その結果、1000人当たりの糖尿病寛解率は年間で9.7件と、日本の研究データとほぼ同様の結果となっている。また、糖尿病の寛解を促す因子として、糖尿病の診断から1年未満であること、研究参加時点で糖尿病治療薬が投与されていないこと、研究参加時点で体格指数やHbA1c値が低いことが明らかとなった。
糖尿病の寛解を促す要因は、日本、米国、英国、それぞれの研究データでほぼ一致しており、糖尿病と診断され間もない人、薬物治療を受けていない人、BMIやHbA1cがそれほど高くない人は、糖尿病の寛解が強く期待できるといえるかもしれない。