冬の「脳梗塞」の前兆と予防法 気が付かないと命取り…TIA発症が前触れに
TIAを発症しながらその症状が短時間で消失するのは、血栓が脳の血管に詰まったものの、短時間のうちに血栓が溶けて血流が再開するからだ。
しかし、これは脳卒中の前触れ発作で、その後、短期間に本格的な脳梗塞を発症するといわれている。
「実際にTIA発症後90日以内に15~20%、うち半数が2日以内に発症するとされています」
60代のある女性は、休日にベッドから起き上がろうとしたが、左手に力が入らず立ち上がれなかった。しばらくベッドに横になっていたところ、症状は消えた。
その後、しばらくしてスマホが鳴って娘と話をした記憶がある。しかし、何を話したかは覚えていない。気が付いたら病院で脳梗塞の治療を受けていた。娘が会話の様子がおかしいのに気付き、自宅に駆けつけ、脳梗塞で倒れていた女性を発見。病院に運んだという。
■穏やかな運動で体の異変を知る
「体の片側がうまく動かないという状況は、具体的には、食事中に手に力が入らなくなり箸や茶碗を落としてしまう、片足が麻痺して踏ん張れずに転倒してしまう、まっすぐ歩けず体が傾く、片側の口元がだらんと下がるといったケースです。腕の異変については、手のひらを上にして前にまっすぐ伸ばすことでチェックできる場合があります。麻痺がある方の腕が自然と下がっていって、手のひらが内側に向いてきます。足のしびれは、脱力感で知ることが多いようです。顔については本人はわからず、他人に気付いてもらうことがほとんどです」