石原藤樹
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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

トイレで広がる胃腸炎に注意!便座のフタを閉めて流しても…

公開日: 更新日:

 冬はノロウイルスなどの胃腸炎が流行する季節です。そしてその感染が広がる場所として重要なのが、不特定多数の人が使用する「トイレ」です。胃腸炎に感染した人の便には、多量のウイルスが潜んでいて、それが便器の表面や周囲に付着します。後からトイレに入った人が、知らずにウイルスに手などを介して接触し、それが感染の元となるのです。

 排便後水を流す時、便器のフタが開いたままだと、病原体を含む飛沫が周囲に飛び散りやすく、感染の危険性を上げると考えられています。そのため最近、トイレの個室には「便座のフタをしてから水を流しましょう」というような注意事項が掲げられていることが多いのです。

 では、実際に便器のフタを閉めると感染は防げるのでしょうか? 細菌(大腸菌など)の感染の場合には、一定の有効性が確認されています。しかし、大きさがより小さいウイルスについては、その効果はこれまであまり確認されていませんでした。

 今年の感染症対策の専門誌に掲載された研究によると、無害なウイルスをトイレに撒いて実験したところ、便器のフタを閉じて水を流しても、ウイルスの周囲への飛散は予防出来ませんでした。ウイルスによる胃腸炎の予防には、便器のフタを閉めるだけの対策では不十分で、便座をその都度除菌するような、より確実性のある対策が必要であるようです。

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