糖尿病患者の3割が罹患する「慢性便秘」は命にかかわる病気…死亡リスク20%増との報告も
たかが便秘、大したことない──。そう思っている人は考え方を改めた方がいい。国内外の調査研究で、便秘は寿命に関係することが明らかになり、治療が必要な病気と認識されるようになったからだ。しかも便秘になりやすい病気があり、糖尿病もそのひとつ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。
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便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を言い、便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態」を言う。
「便秘が怖いのは、それが命にかかわる病気を引き起こしかねないからです。2010年に発表された20歳以上の米国人3993人を対象に15年間追跡した研究で、便秘症ありの人は、なしの人より亡くなる人が20%以上多かった。気をつけたいのは心血管疾患です。高血圧の人がトイレでいきむと脳の中の血管やそこにできた瘤が破れたり、血栓が飛んだりして脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こすことがあります」
宮城県大崎地区在住の40~79歳の男女4.5万人余りを対象に13.3年間の心血管系死亡と排便回数を調べた研究では、排便が「毎日ある」人に比べて、「2~3日に1度」「4日に1回以下」は心血管死亡リスクはそれぞれ、1.21倍、1.39倍多かった。