優等生が一転、20年超のひきこもりに…「子ども」の視点
結局、その後、不登校と保健室登校を繰り返しながら、なんとか高校は卒業し、本人にとっては本意ではない大学に合格はしたものの、その大学に通う気にはどうしてもなれず、中退したままひきこもりの生活が始まったのでした。
その間、親に一度、メンタルクリニックに連れていかれたものの、そこでも「精神疾患ではないから」と担当医に言われて一回きりで終わり、何もしてくれなかったのだそうです。お父さまは「子育ては母親の仕事」という古い価値観のタイプで、たまに話しをしてもすぐに「お父さんの時代は……」「お父さんはこうして乗り越えた……」というご自身の体験談を語られる一方で、「もっと前向きにがんばれ」「気持ちを強く持ちなさい」といった激励が中心で、弱音を吐くような話には付き合う気すらないという態度だったそうです。
Aさんは、実は本当は医師になりたいなんて自分自身で本心から思ったことは一度もなく、「自分の気持ちを親がわかってくれないのはつらいけれど、親のことは大好きだし、期待に応えられなくて申し訳なかった」と、今でも言うのです。(つづく)