著者のコラム一覧
最上悠精神科医、医学博士

うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

苦しむわが子を理解し、寄り添うにはどうすべきか?

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 たしかに、精神医療につながることで改善するつらい症状も一部はあるでしょう。また、強い希死念慮や自殺企図となれば、緊急での入院という選択肢も検討されなければなりません。でも現実的には、眠れないから睡眠薬だけは処方しにもらいにメンタルクリニックに通ってはいるけれど、あとはひきこもり生活……という方も現実は多々おられます。

 私は、精神疾患だからひきこもっているというよりは、ひきこもるほど困っていたから精神疾患も発症し、さらにその精神疾患によってひきこもり問題が複雑化して、よりこじらせているという理解の方が正確なのではないかと認識しています。

 仮に本人が一念発起して精神医療を受診しても、精神科医でもひきこもりの治療を積極的かつ丁寧に扱ってくれるところは必ずしもそれほどは多いとは言えないため、通っても期待通りにいかず失望される方も多いかもしれません。ちょっと前ならパーソナリティ障害だと診断され、今だと発達障害だからと診断されて、そこから「性格だから治らない」「特性だからしょうがない」などと打つ手なしという対応をされるケースも少なくないのが現状でしょう。

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