禁煙をしたいときは「損失回避バイアス」を考えるように
例えば、「毎日1箱500円のたばこを吸っていると、禁煙すれば1カ月で1万5000円のお金が浮きます」と言われても、多くの喫煙者は「そんなことは分かっている」と意に介さないのではないでしょうか。
しかし、「今までたばこにかけたお金が合計300万円で、そのたばこ代をそのまま金融証券の積み立て運用に回せば、現時点で480万円になっていた」と言われるとどうでしょう? 何だか悔しい気持ちになりませんか?
このように、あえて損失を支点に考えてみることで、喫煙することのデメリットを感じやすくなるのです。
自分がたばこのために使った数百万円が、その産業の偉い人の財布に消えていくと想像するのもいいかもしれません。自分は体を悪くしてまで吸っているのに、誰かの懐を温めていると考えると、何とも釈然としない気持ちになりますよね。
あるいは、「喫煙を続けると肺がんなどのリスクが高まり、寿命が短くなる」という表現ではなく、「喫煙によって健康寿命を〇年も失う可能性があり、好きだった趣味(例えばゴルフ)が続けられなくなる」と具体的な損失を意識するのもいいでしょう。何かが増えるのではなく減ると考えるだけで、人間の心境は変わるのです。