思春期の子供の不登校の原因は「起立性調節障害」かもしれない
「私たちの患者さんでは、身体症状は受診から半年で8~9割が軽快しますが、登校などの適応状態は必ずしも同じように改善するわけではありません。ODという診断は不登校解消の“入り口”に過ぎません。お子さんや親御さんには『ODはありますが、困りごと全てがODによるものではない』と説明し、お子さん自身が自己理解を進め、困りごとを整理できるように対話を重ねていきます」
■遅刻が続いて休みがちになり、不安から自律神経の乱れが進む
ODには身体・心理・社会的側面が複雑に絡んでいると先述したが、例えば身体的側面に限っても「夜型生活で体内時計のリズムが後ろにずれている」「夜に強い光を浴びることで睡眠ホルモンの分泌が抑制されている」などの複数の面があり、また「学校に行くプレッシャーが強く起きられない」「自己肯定感の低下や抑うつ気分から眠っていたい」などの心理的側面、「親の仕事の影響で夜型になりやすい」「きょうだいの生活時間の違い」などの社会的側面もある。いわば困りごとや課題という「層」が何重にも積み重なっている状態だ。