新入札制度も絡んで…阪神の新守護神・呉昇桓獲得の“全真相”
阪神から好条件を提示された呉の代理人はそれを「保険」とし、11月15日に開幕するアジアシリーズの舞台・台湾へ飛んだ。そこで、絶対的な抑えのいない楽天の関係者に呉の獲得を持ちかけた。
ところがここで、両者にとって計算外の事態が起こる。
■入札制度の誤算
FA権を持たない日本選手がメジャー移籍する際の入札制度は10月末、新制度の内容(日本の球団が受け取る金額は入札額1位と2位の中間など)が決定したものの、日本の選手会がこれに反発。大リーグ機構(MLB)は「日本の総意が出るのに時間がかかり過ぎる」と激怒。11月15日に新制度を取り下げ、修正案を提出すると発表した。
新入札制度の日米合意が一時暗礁に乗り上げたことで、田中将大のメジャー移籍は不透明になった。
ある球界OBが言う。
「韓国球界に太いパイプを持つ星野監督も、呉を高く評価していたが、新入札制度がどうなるか、先が見えなくなった。当初は100億とも70億円ともいわれた田中の入札金がどれだけ減額されるのか、新入札制度そのものが日米合意するのか、それがわからないまま、呉との商談にのるわけにはいかなかったのでしょう」