粘りの投球で9勝目も…アスレチックスがマー君を“丸裸”
試合前に「いろんな球種を持っているので、対応するのが難しい。できれば対戦したくない投手だ」と敵将メルビン監督に言わしめたが、田中は丸裸にされていたのだろう。捕手が本職のボートを左翼で起用するなど左打者7人を並べた打線に、てこずった。低めの変化球を見逃されることも多く、象徴的だったのは五回だ。先頭の7番ボートにカウント1―2と追い込みながら、変化球に手を出してもらえず、ファウルで粘られた末に、甘く入ったスライダーを中前に運ばれた。無失点で切り抜けたとはいえ、この回はくせもの揃いの下位打線に粘られて費やしたのは26球。この日は総じて球数はかさみ、降板した六回までに104球に達した。
思い通りに投球が組み立てられない焦りからか、田中はマウンド上で何度となく、渋い表情を見せたほどだった。
これで田中はデビュー戦から続くクオリティースタート(6回を3失点以内)を12に伸ばした。メジャー1年目は順調過ぎるほどだが、アスレチックス打線に苦戦したように相手から研究されているのも事実。田中がさらに白星を積み重ねるには、相手の上を行く対策が必要になりそうだ。
▽田中の話「粘ってチームの勝利に結びついたことはよかった。すごく粘り強いチームだと感じた。球数を(多く)投げさせられたが、最後まで打者を仕留める気持ちは持っていた」