国際体操連盟会長選 日本人理事圧勝のウラに文科省マネー
文部科学省のカネもものをいった。2020年東京五輪とそれ以降を見据え、“スポーツ界における日本の発言力を高めるためには、IFの日本人役員を増やす必要がある”とした文科省は、15年度、16年度の2年間で1億4000万円の予算を計上。選挙活動のための海外渡航費などを積極的にバックアップしているのだ。渡辺新会長も今回の選挙に向け、世界102カ国を回って支持集めに奔走した。
元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏がこう言う。
「こういった活動は世界各国がやっていて、特に中国やロシアはとても積極的です。中国はアフリカ地域の貧しいエリアに施設や道具を贈るのはもちろん、接待を重ねてIOCのアフリカ代表の票を集めたり、国家ぐるみで動いています。私は中国の要人に、『日本はなぜやらないんだ?』と言われたことがあります。日本はこれでもまだまだ遅れているんです。日本は言語能力も低い。中国が各国の言語を話せる人を養成して対策したように、日本ももっと交渉力を上げていかないと理事会でマジョリティーになることはできません」
国際スポーツ界では近年、日本の影響力低下が問題視されてきた。渡辺氏の任期は17~20年の4年間で、東京五輪を控える日本にとって、世界に対する発言力や影響力の改善が期待されているが……。