広島ジョンソンも本当は“対象外” 沢村賞の価値またも低下
「基準を見直す必要がある」
こう言ったのは、沢村賞選考委員長の堀内恒夫氏。24日、今年の沢村賞に広島のジョンソン(32)が選ばれた。外国人投手としては64年のバッキー(阪神)以来、52年ぶりとなったが、堀内氏は来季から選考基準を改定する方針を示した。
そのワケは、「完投数、投球回をクリアできる投手がいない」ということ。沢村賞は先発完投型の投手に贈られ、25試合登板、200投球回以上、防御率2.50以下、15勝以上、勝率6割以上、10完投以上、150奪三振以上の7項目を満たし、さらにチームの勝利貢献度なども加味される。ジョンソンがクリアしたのは15勝など4項目のみ。本来なら選考対象外のはずで、5人の委員のうち堀内氏、村田兆治氏は当初、「該当者なし」としたが、平松政次氏ら3人が推したという。
昨年の前田健太(広島)も「10完投以上」の基準に満たずに受賞した。分業制が確立された現在のプロ野球で、全7項目を達成するのは難しくなっているものの、13年の受賞者である田中将大(楽天)は、24勝0敗をはじめ、圧倒的な成績で全項目をクリア。「沢村賞は自分にとって大事な大きな賞」と誇らしげに言ったのは、賞の高い権威を物語っている。
ただでさえ沢村賞の価値が落ちているのに、今後はクオリティースタート(QS=6イニング自責点3以下)を加えることも検討しているという。達成者がいなければ、該当者なしでいいものを、こんな状況では田中をはじめ、過去の多くの受賞者が泣いている。