具志堅戦も裁いた伝説のレフェリー 山中慎介の敗因を解説
13回連続防衛を達成した具志堅氏と、果たせなかった山中。ジュニアフライ級(現ライトフライ)とバンタム級の違いはあれど、両者の差は何か。
「私は具志堅の世界戦を5回ほど裁きましたが、彼はディフェンスやフットワークにも長けていた。それが具志堅にあって、山中にないもの。山中はあまり足を使わず、ダッキングもあまりしない。打たれるとカッとなるのか、下がらずに前に出て、さらにパンチを食らう悪癖もある。今は世界王者ともなれば、年に1、2回しか試合をしない。世界戦の合間にノンタイトル戦を挟むなど、年に5試合ほど試合をしていた具志堅の時代とは、比べるのは難しいのですが……」(前出の森田氏)
山中は試合後、「向かい合って、大したことない相手だと。自分は大丈夫だったけど、打たれすぎてセコンドを心配させてしまった」と話したが、王者が棒立ちでサンドバッグ状態となれば、陣営が止めるのも当然。強気な言葉とは裏腹に、敗戦直後は涙が止まらなかった。