柔道73kg級で金 大野将平は“絶口調”で五輪連覇へ視界良好
井上康生監督は「王者が帰ってきてくれた」と喜んだ。
アジア大会の男子柔道73キロ級を制した、リオ五輪金メダリスト大野将平(26)のことだ。
決勝の相手は2大会連続世界選手権3位の安昌林(韓国)。消耗戦となった延長7分すぎに内股で技ありを奪い、11分9秒に及ぶ試合を制した。
「もう10分でも20分でも戦ってやろうと。あれだけ粘り強く戦えたのは大きな収穫。ここで引いてしまえば東京五輪への道が閉ざされてしまうという気持ちだった」とは試合後の本人だ。
リオ後、本格的な練習を1年半近く休んで、天理大の大学院へ。得意の大外刈りをテーマに論文を書き、修士課程を取得した。心身ともにリフレッシュし、今年に入って稽古を再開。4月の全日本選手権は準決勝で敗れて世界選手権代表の座を逃したが、今回のアジア大会で結果を出した。
天理大時代に暴力事件を起こしながら、「あれは周りが騒いだだけ。この世界は勝てば文句も言われないんです」と開き直っていた男が、この日の試合後は「人間的に成熟できた。ありがたいくらいの重圧をかけていただきましたしね」と言った。
口の方も“復活”の気配。五輪連覇に向け、好スタートを切った。