米中間選挙後 トランプの言動に球団経営者ビクビクの理由
トランプ政権の最も過激な政策の一つがメキシコとの紛争をもたらしている「国境の壁」に象徴される移民の規制だ。
実は、移民の規制そのものは共和党だけでなく民主党の一部からも支持を集めている。そのため、表面的な2大政党の対立にもかかわらず、今後は入国審査の厳格化や国境警備の厳重化などによって移民の流入数を抑制する方策が強化される可能性が高い。すでに実施されている就労ビザの発給数の抑制の政策が継続されれば、マイナーリーグで働く外国籍の球団職員や審判、さらにマイナー契約で渡米する選手の活動に支障が生じかねない。
さらに、「米国第一」を掲げ、低所得の白人労働者を主たる支持層とするトランプ政権にとって、戦後成長に迫ろうとしている好景気の恩恵から取り残された支持者たちの歓心を買うために、高騰するプロスポーツの入場料の抑制に動くこともあり得よう。
ひとたびトランプがツイッターで、「どのプロスポーツも入場料が高い! 誰もが見られる料金にすべきだ!」と発言すれば、大リーグを含む米国4大スポーツは採算を見極めつつ、可能な限り迅速な対応を余儀なくされる。
入場料規制は「大企業規制」を掲げる民主党のサンダース系議員も同調しやすい主張だ。それだけに、大リーグの経営者たちは気まぐれな大統領が入場料の一覧表を目にしないことをひたすらに願っているのである。
(アメリカ野球愛好会代表、法大講師・鈴村裕輔)