著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神・近本の“球宴サイクル安打”に感じる恥ずかしさ

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 しかし、この沈黙はすなわち3人の違和感を示唆しているとも受け取れる。何しろオールスターのテレビ中継は生放送であり、しかも目の前の試合はその後も動き続けるわけだから、テレビのコメンテーターという立場を考えると、複雑かつ丁寧な論理展開が必要になってくる私見を発表することには、あまり適していない。

 要するに、ゆっくり持論を展開できる時間が生放送にはないということをわかっているからこそ、3人は多くを語らなかったのだろう。

■虎党から見ても……

 私もスポーツ情報番組の生放送のコメンテーターを何度も経験したことがある(末席を汚す程度ではあるものの)からこそ、この気持ちは非常によくわかる。

 たとえば生放送中に何らかのニュースについて突発的な違和感を覚えた時、それを的確に話すためには何分くらい必要になるかを瞬時で計算し、それが番組進行の妨げになると判断すると言及を避けることがある。番組の空気を読むのではなく、番組の制限時間を読んで発言を取捨選択するわけだ。

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