剛柔備わるプロクライマー 野口啓代を支える「3つの武器」
スポーツクライミング女子複合・野口啓代(30)
「スポーツクライミングはまだ競技としては未熟な面もある。その中で、野口選手は唯一、プロフェッショナルなマインドを持っているクライマーではないでしょうか」
こう話すのは、クライミングジャーナリストの植田幹也氏だ。
小学校5年時の家族旅行で訪れた米グアムでフリークライミングを体験。以来、クライミングに魅せられ、W杯優勝21回の実績は現役選手の中では世界最多を誇る。
スポーツクライミングは3つの種目の複合。タイムを競う「スピード」、4分以内に難しいコースの完登回数を競う「ボルダリング」、6分以内に登った高さを競う「リード」がある。
植田氏が言う。
「野口選手の特長はおおまかに3つ。1つは経験に裏打ちされたミスの少なさと勝負度胸。2つ目は恵まれた体格です。クライミングは一般的にある程度の身長とリーチがあれば有利とされる。野口選手は165センチと、世界を見渡しても体格で引けを取らない。3つ目は剛柔備えた登りです。とにかく体が柔軟で、開脚やかかとを使った『ヒールフック』といった足技は大きな武器。その発想力は海外でも『Akiyo Style』と呼ばれているほどです。さらに指の力が他の選手に比べてずぬけており、真正面からの力強い王道クライミングも得意です」