盟友・高木守道氏を悼む 今も耳に残る「パチン!」の音
選手としては、「超」のつく天才だった。
17日に78歳で亡くなった高木守道氏とは、現役時代に中日で同じ釜の飯を食った間柄。私の3歳下で「権藤さん」「守道」と呼び合った。
地元名古屋のテレビ局関係者から訃報を知らされたときには、しばらく言葉を失った。昨年10月に亡くなった金田正一さんと守道は、私にとって「死」をイメージできない人間だった。それだけ傑出した選手だったし、大きな故障や病気とも無縁だった。私よりずっとずっと長く生きるのだろう。自由で、気ままで、思うがままにという性格も、そう思わせた。
振り返ると、まず思い出すのが「パチン!」という小気味のいい音だ。投手として肩を壊した私は、入団5年目に内野手に転向、三塁や遊撃を守って、守道と二遊間を組むようになった。投手としても、ファインプレーをファインプレーに見せない堅実な守備に何度も助けられたが、同じ内野手になって目の当たりにした守道のプレーは、レベルが違った。
特に驚いたのが、どんな打球もグラブの芯で捕るハンドリング。イレギュラーの打球でも、それた送球でも、すべて芯で捕るから彼のグラブからは必ず「パチン!」という音がした。そして、捕ったときにはもう、球が右手にあって、スローイングの体勢に移っている。遊撃のポジションから見ていて、惚れ惚れするほどだった。