高野連“選手第一”は建前 センバツ中止裏に同調圧力とカネ
日本高野連は、すでに新型コロナウイルスの感染拡大が社会問題になっていた4日に行った運営委員会と臨時理事会で、それでも19日開幕のセンバツ大会を無観客で開催する方針を決定していた。
それが一転、史上初の中止である。
4日の時点で11日に再協議するとしていた高野連にとって、コロナ問題がさらに拡大の一途をたどっている現状を無視できなくなったのは事実だが、それだけか。
「実は無観客開催の方針を発表してから、高野連には抗議の電話が殺到した。テニス、柔道など高体連に加盟する24の競技団体が3月に予定していた全国大会をすべて中止にしただけに、『なぜ野球だけ』との批判に直面して中止に舵を切らざるを得なかった。同調圧力に屈したことは否定できない」(高野連関係者)
この日の会見で大会会長である毎日新聞の丸山社長は、「圧力などはなかったと思っています」と言いながら、「『高校野球だけが特別なのか』とか、意見はいろいろな形でいただきました」と言っていた。
カネの問題も大きい。昨年のセンバツの収支決算によると、入場料収入は3億2828万1435円。物品販売などの収入を加えると合計で3億3222万9384円となっている。無観客開催になるとこれがパーになるうえ、支出は大会準備費や出場選手費、大会役員関係費や各種団体への助成金を含めて2億4148万8313円。球児の夢をかなえてやりたい、との建前はあっても、背に腹は代えられなかった。
「センバツ主催者の毎日新聞は昨年、26年ぶりに早期退職を募集すると話題になった。社員の1割に当たる200人規模のリストラと報じられるなど、業績悪化が問題になっている。いずれにしろ無観客は収支的にも無理があった」(放送局関係者)