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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

バッハ会長と菅総理が確認した「東京五輪開催」の同音異義

公開日: 更新日:

 アマチュアからプロに移行し、技術革新によって放映権という打ち出の小槌を獲得し、オリンピックは階級や地理的ハードルを乗り越え文字通り世界の祭典になった。鳥人ブブカも皇帝ゲブレシラシエもウサイン・ボルトも、この流れから生まれ出たヒーローだ。オリンピックは実に巧妙に時代に合わせて様変わりし、同時に巧妙にその精神を残した。コスモポリタニズム(汎世界主義)であり政治介入の排除だ。

■政治経済まみれ

 雑多な思想信条が入り乱れ、罵り合い、殺し合う地球上の、4年に一度の融和の舞台……オリンピックは金に換えられない機能を持ち、いくら観念的といわれようと、ニュートラルな〈場〉を持ち続けるというクーベルタンからの理念は根底で変わっていない。

 バッハ会長が来日して念を押した「東京開催」はその理念だ。では、安倍前首相が「福島はアンダーコントロール」と宣し、8月の東京はマイルドな気候と偽り、リオの閉会式でスーパーマリオに扮して世界を招いた東京大会に理念はあっただろうか。政治経済まみれではなかったか。

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