危ぶまれる東京大会 理想と理念を失い五輪持続の意義なし

公開日: 更新日:

 皮肉な話だ。大会組織委員会は、延期となった東京五輪スポンサー契約の延長交渉に苦慮していた。国内スポンサー収入は過去最大の3480億円。スポンサー枠の大原則だった「1業種1社」を捨て、あらゆる企業から集めるだけ集めた結果、従来の最高額の約3倍まで膨れ上がった。

 IOCが「スポーツの祭典」を商品化し、その美辞麗句を名だたる企業がイメージ向上や宣伝に利用する。商業主義に根差した「儲かるイベント」の構造が、過去最大のスポンサー収入に行き着いたわけだ。

 それが今や、どうだ。コロナ収束の見通しが立たず、東京五輪の開催は依然、危ぶまれている。メリットを失えばスポンサーが負担を渋るのは当然だ。24年のパリ五輪も、コロナ感染拡大の影響でスポンサー収入の落ち込みが問題となっている。

 IOCは収益の約9割を莫大な放映権料とスポンサー収入に頼っている。その一角が崩れた途端、IOCの狂乱金権主義も終焉に近づく。

「重い負担から開催都市の招致撤回が相次ぎ、五輪の興行化と巨大化は既に限界を迎えていました。その表れが17年の『24年パリ、28年ロス』の開催都市の同時決定というIOCの苦肉の策。その上、欧米におけるコロナ感染拡大がトドメを刺しそうです。もはや理想と理念を失った五輪を持続させる意義はありません。“ポスト五輪”が、世界と人類におけるスポーツの在り方を根本的に考え直す好機となることを願います」(スポーツジャーナリスト・谷口源太郎氏)

 それでも東京五輪を強行すれば、恐らく「最後の大会」として歴史に名を刻むことになる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース