選手村滞在選手から初のコロナ陽性が…感染情報を徹底隠蔽する組織委の恥さらし
開催機運が高まらないまま、東京五輪の開会式が4日後に迫り、各国代表団の来日がピークを迎えている。本番が近づくにつれ、大会関係者の新型コロナウイルス感染者数も増加。18日は選手村に滞在中の選手2人の陽性も初めて判明した。組織委員会は「プライバシー」をタテに詳細情報をひた隠しにしたが、南アフリカスポーツ連盟・オリンピック委員会(SASCOC)が自国関係者だと発表するや、追認する大マヌケぶり。水際対策はザル、情報は隠蔽。世界に恥をさらす狂気の祭典になること請け合いだ。
◇ ◇ ◇
海外メディアの報道を受けてSASCOCは18日の夜、選手村入りしたサッカー男子選手2人と関係者1人の感染を発表。南ア代表は22日の1次リーグ初戦(東京・味の素スタジアム)で日本代表と対戦する。昼間の会見で組織委はこの3人が「同じ国、同じ競技」としか説明せず、国名、年齢、性別などを含め、詳細を明かさなかった。ところが、南アの動きで一転、認めざるを得なくなったのだ。
組織委の隠蔽体質は筋金入りだ。公式ホームページで〈大会関係者と観客の新型コロナウイルス感染症の陽性者情報を下記のように公表すると共に、注意喚起と各種対策を講じて感染拡大防止に取り組んでまいります〉とうたい、「東京2020大会関係者の発症状況」を随時アップしているが、どういうわけか英語版のみ。
項目は公表日、陽性判明日、属性、居住者か非居住者か、14日間の隔離期間を終えていたのか、など。最新データ(18日現在)によると、今月1日以降、計55人の感染が判明。内訳は業務委託スタッフ29人、大会関係者16人、報道4人、選手4人、組織委スタッフ2人だ。隔離期間を終えたかどうかは、半数超の32人が「非公表」となっている。
「情報を隠すほど政府が嫌う風評やデマが飛び交う」
一方、COC(チェコオリンピック委員会)も18日、来日した代表チームスタッフの陽性が確認されたと発表。成田空港で実施された抗原検査、続いて行われたPCR検査で判明し、機内の濃厚接触者と共に隔離中だという。
この件について組織委はいまだ言及していない。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。
「南アやチェコの対応は極めてまっとうです。米前大統領や英首相が感染したように、いつ誰が陽性になってもおかしくない。リスク管理の面でも適切な情報の開示・共有が欠かせないのに、統制を敷くとは強権国家そのもの。情報を隠せば隠すほど、政府が嫌う風評やデマが飛び交うことになり、無用な混乱を招くだけです」
検査態勢も相変わらずザルのまま。空港検疫も毎日のチェックも、最初は抗原検査。陽性と出れば精度が高いPCR検査で再検査する。
「抗原検査頼みの水際対策の失敗で変異株の流入を許しているのに、なぜやり方を変えないのか。直ちにPCR検査に切り替えるべきです。政府はIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長に遠慮しているのでしょうか。『来日する関係者の大半がワクチン接種済み』『リスクを持ち込むことは絶対にない』と言っていましたから、陽性者がどんどん出たら都合が悪いのか。これ以上、日本の恥を世界にさらすのはやめてもらいたい」(前出の中原英臣氏)
もはや「安全安心」は、デタラメの代名詞となりつつある。