「河野太郎総理大臣」誕生なら…2025年世界陸上はポシャる可能性
陸上界が総裁選に注目している。
萩生田光一文科相は7日、東京五輪・パラリンピックのメイン会場となった国立競技場(以下・国立)の後利用について言及。「レガシー(遺産)として現状のまま使う方が国民の理解を得られるのではないか」と言った。
国立は年間の維持管理費が約24億円かかると試算されている。陸上トラックを撤去し、コンサートなどが行える球技専用とすることが決まっているが、昨秋来日した世界陸連のセバスチャン・コー会長による「25年に世界陸上を国立で開催したい」との提案などが、トラック存続を後押ししている。
2025年に国立で世界陸上が開催されることになれば91年大会以来だ。陸上界にとっては東京五輪に並ぶビッグイベントになるわけだが、難問がある。
オリ・パラ終了で仮設撤去
オリ・パラが終わり、絵画館前の軟式野球場に仮設したサブトラック(補助競技場)は撤去される。国立で世界陸上を開催するには、陸連が公認する第1種競技場でなければならない。
つまり、国立の隣接地に400メートルトラック8レーン以上の第3種競技場が必要になる。
1964年東京五輪や91年世界陸上も、今回の五輪同様、軟式野球場にサブトラックを仮設した。25年世界陸上の東京開催が決まれば、同じ場所にサブトラックを造ればいいではないか。幸い、神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替える神宮外苑再開発事業のエリアから軟式球場は外れている。――だが。
「あの人が首相になったらどうなるか」と、ある永田町関係者がこう言う。
■サブトラックのない新国立建設に大反対
「自民党総裁選で河野太郎を推す若手議員は多い。首相の座も現実味を帯びてきた。太郎氏は祖父(一郎)と大叔父(謙三)、父(洋平)が陸連会長で、自身も慶応中、高時代は陸上部だった。陸上に理解がある一方、行革推進本部長だった15年には、国費で新国立を建設することに異を唱え、新しい競技場を造ってもサブトラックがないから全国大会さえできないと言い、駒沢競技場(第2種)を改修し、サブトラックを整備することで第1種の競技場になれば、五輪も世界陸上もできると提案したほどです」
サブトラックの仮設に10億円超
さらに、関係者は続ける。
「世界陸上は10日間のイベントです。国立の維持管理費の他に、一説には、国立のサブトラックの仮設には10億円以上かかり、大会経費の約半分は開催都市が負担すると聞いた。今後、国や東京都は莫大なコロナ関連の支援や補償費、巨額赤字の残った五輪の後始末にも追われる。太郎氏が首相になれば、国立の世界陸上には待ったをかけるのではないか」
改革派の河野太郎氏が首相になれば「自民党がぶっ壊れる」との声もある。世界陸上も潰れるか。