羽生結弦「今季最高得点」で復活V&北京代表内定 宿敵チェンとの金メダル争いは情報戦が鍵
圧巻の復活劇である。
北京五輪代表選考会を兼ねたフィギュアスケートの全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)は26日、男子フリーを行い、羽生結弦(27)が211.05点をマークし、24日のショートプログラム(SP)と合わせて322.36点で優勝。「今季世界最高得点」で6度目の頂点に立ち、3連覇がかかる北京五輪代表に内定した。
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羽生は冒頭、4年間にもわたって練習に取り組んできた大技の4回転半ジャンプ(クワッドアクセル)を披露。両足着氷となり回転不足を取られて減点されたが、その後は安定したスケーティングを見せた。後半の3連続ジャンプを全て危なげなくこなし、連覇を成し遂げた。
演技を終えた羽生は「正直ほっとしている。6分間練習の前から泣きそうで、今までの頑張ってきたことを思い出して、かなり苦しかった。(4回転)アクセルよりも、楽曲とプログラムにリスペクトを持ってできたのでよかった」と安堵の表情を見せた。
宿敵チェンは異例のプログラム変更
北京五輪では同じく代表入りした宇野昌磨(24)の他、ネーサン・チェン(22)、ビンセント・ジョウ(21)の米国勢2人がライバルとなる。人類初の大技に挑戦したことで、チェンらにプレッシャーをかけることになったが、ライバルも指をくわえて見ているわけではない。
羽生の完全復活を見据えてか、ここにきて宿敵チェンは演技構成を変更する方針を打ち出した。
今月20日、来年1月7日開幕の全米選手権(テネシー州ナッシュビル)を前にオンライン会見したチェンはSP、フリーとも2019-20年シーズンのプログラムに戻すと明かした。3連覇を達成した19年GPファイナルではSPの「ラ・ボエーム」で世界歴代2位の110.38点。フリーの「ロケットマン」では224.92点、合計335.30点と、いずれも世界最高得点をマークした。
今季はSPで「エタニティ/ネメシス」、フリーで「モーツァルト・メドレー」をそれぞれ使用したものの、GPシリーズ米国大会では3位に終わり、優勝したカナダ大会でも合計307.18点と得点を伸ばせなかった。
シーズン中に演技構成を変えるのは異例のこと。米メディアの取材にチェンは「恐らくそう(19-20年のものに)なる」としながらも、五輪の演技については「未定。出場が決まれば楽しみにしていてください」と最大のライバルである羽生を牽制するかのように明言を避けた。
チェンを迎え撃つことになる羽生は北京でも4回転半に再挑戦するとみられる。大技は成功すれば加点される半面、今回のように失敗すれば大幅な減点につながりかねない。確実に金メダルを取りにいくなら、大技を構成から外す選択肢もある。
羽生がライバルの揺さぶりに対抗するためには、戦略を本番ギリギリまで隠すのに越したことはない。