大阪工大高(当時)野上友一監督 昭和天皇が崩御で幻となったラグビー決勝戦【後編】
それで、宿舎に帰ってきた後、選手たちを集めて声をかけたんです。あまりにも皆が暗い顔をして、負けたみたいな顔していたからね。
「おいお前らなぁ、優勝は優勝や。胸張って家帰れ。よし一回だけ万歳しよう。あんまりようけ万歳やったらアカンから一回だけやで。優勝おめでとう、万歳!!」
全員で一回だけ「万歳!」をして、その日は「よし、解散」ということになりました。
ちなみにそのときの「万歳」については当時、公表しませんでした。怒られますから。
ーー怒られるというのは?
街宣車が学校にやって来たんです。
「選手たちが不満げな顔をしていた。天皇崩御なのになんだ、あの態度は!」と言って、爆音で抗議されました。その他、ものすごい数の抗議の電話もありました。
ーー実際、試合やってたらどうなったんでしょうね。
当時は勝つと信じていました。だけど4年後の第72回大会(1992年~93年)の3回戦で茗渓学園とあたって、36ー27で負けています。中止されず実際、試合をやっていたら勝てたかどうか。今となってはわかりません。