星野仙一監督“鉄拳制裁”の現実 キレるのは「野球人としてあるまじき行為」に対して
■捕手で怒られる立場だったが、殴られたことなし
「鉄拳制裁」が当たり前の時代。星野監督の代名詞ではあるが、実際はどんな時に怒るのか。エラーをしたら、ミスをしたら、いつでもどこでも手が出るわけではない。「気持ちの乗っていないプレー」「ボーンヘッド」が挙げられるが、「野球人としてあるまじき行為をしたケース」には特に厳しかった。
中日のある有望選手が、暴力団関係者とつながりのある女性といい仲になり、修羅場になったという。その際、「オレは中日の〇〇だ」と大見えを切ったそうで、その筋から球団事務所に連絡が入り、知られるところとなった。
球団から厳重注意を受けたその選手は、懲りずにもう一度同じことをやったから大変だ。堪忍袋の緒が切れた星野監督は、監督室にその選手を呼び出すと……。これは聞いた話で、実際に見たわけではない。実は星野監督の「鉄拳」を見た記憶があまりないのだ。私は捕手で怒られる立場だったが、殴られたこともなかった。
ただ、蹴りを食らったことはある。あれは就任1年目の87年、ナゴヤ球場での巨人戦だった。