ヤクルト史上最速M点灯でセは終戦ムード…2位・3位狙いを加速させる「CSの大問題」再燃
「日本のCSはいくら何でも甘い」
CSは2004年からパがプレーオフとしてスタート、07年からはセでも導入された。08年からファイナルステージで優勝チームに1勝のアドバンテージがついた。前出の山崎氏が言う。
「現在、2位以下のチームで勝率5割を超えているのは巨人(41勝40敗)だけ。2位巨人と最下位中日までは6.5ゲーム差で、どのチームにも2位の可能性がある。CSがある以上、強いヤクルトにエースをぶつけるよりも、2位、3位を狙おうとなる。結果、ヤクルトがますます独走してもおかしくない。こんなことがまかり通るならファンに対して失礼だし、面白みにも欠ける。2位以下のチームが星を潰しあえば、今のようにヤクルトがセ界の貯金を丸抱えし、2位以下のチームが勝率5割に満たないというケースすらありうるでしょう」
過去、勝率5割以下のチームがCSに進出したのは05年西武(67勝69敗)、09年ヤクルト(71勝72敗1分け)など7度。日本シリーズに進出した球団は一つもないが、17年に88勝51敗4分けで優勝した広島が14.5ゲーム差をつけた3位DeNAにCSで敗れ、波紋を呼んだのは記憶に新しい。
前出の山崎氏は「CS制度の改革が急務です」と、こう続ける。
「17年や今年のように、何年かに一度は極端な成績になるもの。今年、まかり間違ってヤクルトが2位以下のチームにCSで敗れる可能性だってゼロじゃない。それでは143試合を戦った意味がなくなる。CSが球団の営業面で大いに貢献しているのは理解しても、ペナントの価値をおとしめるようでは本末転倒。そもそも日本はメジャーに右に倣えの風潮がありますが、30球団あるメジャーとは違い、日本は12球団しかない。そのうち半分の6球団に日本シリーズ進出、日本一の可能性があるというのはいくら何でも甘い。まして勝率5割以下のチームがCSに出るのは優勝チームに対して失礼。<勝率5割以下のチームはCS出場権なし>というように、一定の線引きが不可欠です」
■権藤博氏もかねがね「CS廃止論」を
CSを巡っては、評論家の権藤博氏がかねがね、日刊ゲンダイの連載コラム「奔放主義」で廃止論を訴えている。
「CSがなくなれば、優勝以外は2位も6位も一緒という本来のペナントレースのあり方に戻る。首脳陣や選手の評価も変わってくるだろう。2位や3位で首がつながってきた監督、コーチの手腕がシビアに査定されれば、曖昧になっていた責任の所在もはっきりするはずだ。2位狙い、3位狙いは通用せず、純粋に頂点を目指し、そのための戦略が求められる」
今季のヤクルトの独走がCS廃止の契機になるのかどうか。