MLB選手会は「世界最強の労組」ドーピングや性的暴行があろうと契約は保証される
8月中旬、昨年のナ・リーグ本塁打王であるフェルナンド・タティス(パドレス)が筋肉増強剤(クロステボル)の使用発覚で80試合の出場停止処分を受けた。
タティスはパドレスと総額3億4000万ドル(約477億円)の14年契約(2021~34年)を交わしている。今回の事件で昨年の本塁打王が禁止薬物の助けを借りたインチキタイトルであることがバレてしまったのだ。
日本人の常識で考えれば、これは詐欺以外の何物でもないので、球団は残りの12年分の契約を解除できるように思ってしまう。しかし、メジャーリーグではそれができない。「世界最強の労組」と揶揄されるMLB選手会が「選手の権利擁護」をタテに強硬に反対するからだ。
そのため長期契約中に何か違法行為をやらかしても球団が契約解除に成功したケースはなく、できることは出場停止期間中の給与カットだけだ。タティスが今回の80試合出場停止でカットされる給与は250万ドル(約3.5億円)に過ぎない。
給与カットはこうした薬物によるもの以外にも、以下のようなケースで発生する。