山下美夢有が手に入れた「日本の年間女王タイトル」に一体どれだけの価値があるのか
プロだけでなくアマも同様だ。今年11月にタイで行われた「アジア太平洋女子アマ選手権」では、アジア中の女子アマチュア選手が参加し、台湾の高校生ファン・ティンシュアン(17)が優勝した。
この大会優勝者には全米女子プロを除く4つのメジャーと、オーガスタナショナル女子アマ選手権の出場権利が与えられる。第1回大会(18年)優勝のA・ティティクルは勝った直後にプロ転向、即座に米国に拠点を移し、現在世界ランク3位にまで上りつめている。
■世界を目指す姿勢がファンを引きつける
各国トップ選手は、世界の頂点を目指してLPGAツアーに集結するが、日本選手は古江彩佳、渋野日向子ら一部選手を除き総じて内向きである。山下は女王決定直後に「将来は海外に挑戦したい」とプランが曖昧だ。3位・稲見萌寧、4位・西郷真央も海外挑戦に消極的だ。
日本女子ツアーは若手の活躍で空前のブームを迎えているようにみえる。しかしその繁栄の原動力は、海外に挑戦した宮里藍であり、日本人42年ぶりのメジャー優勝を遂げた渋野である。
現在の国内ツアーは、20歳前後の若手が週替わりのように目まぐるしく優勝を繰り返していることもあり、山下のこれまでの勝利に強烈な印象は少ない。プロの人気は「記録より記憶」であり、それは国内ナンバーワンではなく、世界の頂点を目指す姿勢がファンを魅了する。