阪神ナインを奮い立たせる「オカダの涙」…実は人情味あふれる感激家なのだ
注目された新生・岡田丸の船出は順風満帆だった。15年ぶりの開幕4連勝。その中で思わず目をこらしたシーンがある。DeNAとの開幕カード2戦目でサヨナラ打を放った近本を抱擁した際、岡田監督の目がちょっぴり潤んでいるように見えた。少なくとも、感動のインジケーターがMAXを指していたことは確実だ。
実は岡田監督は感激家で、涙もろい一面がある。私は少なくとも、グラウンド上の「オカダの涙」を3度知っている。
まずは1993年10月21日。翌年の戦力構想から外れた岡田監督が、タテジマ最後の打席に立った日だ。本拠地・甲子園の最終戦。1-1で迎えた七回裏2死一、二塁の好機で万雷の拍手と大歓声の中、「代打・岡田」がコールされた。マウンドには広島・長冨。応援歌のコンバットマーチが鳴り響き、右翼席には「岡田彰布 僕らの胸に永遠に」と書かれた横断幕が掲げられた。
もう、たまらない。岡田監督が目をしばたたかせる。ベンチでは日本一メンバーの僚友、木戸と中西が「おいおい。汗じゃなく涙か」と言わんばかりに顔を見合わせる。結果は一邪飛。岡田監督はのちに明かした。