阪神ナインを奮い立たせる「オカダの涙」…実は人情味あふれる感激家なのだ
「そんなもん、打てるかいな。ボールが見えへんのやから。涙でな」
続くは2003年10月23日。1勝2敗で迎えたダイエーとの日本シリーズ第4戦は5-5で延長十回裏に突入し、打席には主砲・金本。新垣のスライダーを一閃すると、打球は右翼席に飛び込む劇的なサヨナラ本塁打。甲子園が揺れる中、金本はこう証言した。
「三塁を回る時、ベースコーチャーの岡田さんが泣いとってなぁ。打った本人が泣いてないのにビックリしたよ。いい人なんやなぁ」
最後は08年10月20日。歴史的V逸の責任を取って退任が決まっていた岡田監督は、1勝1敗で迎えた中日とのクライマックスシリーズ第3戦に臨んだ。0-0の九回表に守護神・藤川が、ウッズに決勝2ランを被弾して終戦。セレモニーの予定もなく岡田監督はベンチ裏へ下がったが、トラ党が許さない。
オッカッダッ! オッカッダッ! 岡田コールは20分以上もやまず、赤星らがグラウンドに姿を見せるよう監督室で岡田監督を説得。マウンド付近で胴上げされ、整列するナイン一人一人と握手すると涙腺がはじけた。藤川には「最後、おまえで負けてよかったわ」。師弟2人の号泣劇に、京セラドームは感動の渦に包まれた。