大谷翔平争奪戦いよいよ佳境…“勝てないエンゼルス”が「最終候補」に依然残るナゾ解き
同じロサンゼルスを本拠地にするドジャースとエンゼルス。両チームが戦う交流戦は「ハイウエーシリーズ」と呼ばれ、特に人気がある。
昨年6月、ドジャースタジアムで行われたドジャース-エンゼルス戦は日本への野球伝来150周年を記念した「ジャパニーズ・ヘリテージ・ナイト」と銘打って、始球式を俳優の渡辺謙が務めた。日本に関わるイベントだけに打者や捕手役は大谷翔平(29=エンゼルスからFA)がうってつけだったが……。
■始球式も取材もパス
「ドジャースは広報を通じてエンゼルスに、大谷の始球式への参加を打診したようですが、断られたと聞いています。2019年7月、やはりドジャースタジアムで行われたハイウエーシリーズの『ジャパンナイト』では、前年の全米オープンを制した大坂なおみが始球式を行い、前田健太(35=現タイガース)が捕手を務めた。大谷には打席に立つオファーがあったようですが、このときも実現しませんでした」(特派員のひとり)
始球式に参加しなかったのはおそらく本人の意向だろうが、“後ろ向き”なのは始球式に限らない。
大谷は8月以降、公の場で報道陣の取材に一切、応じていない。移籍問題に関して口を開かないのは代理人の戦略もあるとして、満票で受賞した2度目のMVPを獲得した直後の電話会見も結果としてドタキャン、ビデオでコメントが流れただけだった。日本のテレビ関係者によれば、「日米の両メディアは大谷の生の声を聞きたいと球団広報にリクエストするのですが、受け入れられない。球団は本人の意を汲んでいるのでしょう。大谷の肉声をもらうために、わざわざ日本から大物OBをアナハイムに派遣しても空振り。挨拶程度がやっとで、しゃべってもらえなかった」そうだ。
■野球に集中できる
前出の特派員がこう言う。
「大谷にとって、エンゼルスはこれ以上ないくらい居心地のいい球団なのです。始球式にしても会見にしても、やりたくないと言えば球団が守ってくれますから。エンゼルスにとって大谷がそれだけ価値のある選手だからでしょうけど、ひとりの選手がこれだけ好き勝手やれる球団が他にあるかどうか。例えばニューヨーク、中でもヤンキースではこうはいかない。どんなスーパースターだろうと会見は必須、球団は強引にでもメディアにしゃべらせます。でなければニューヨークのメディアは納得しません」
ニューヨーク遠征の際、大谷が球場以外にホテルから出ないことが話題になった。食事に気を使いながらトレーニングを欠かさず、睡眠も計画的に取る。野球に集中したい大谷にとってエンゼルスは、調整も含め、打って投げて思い通りの二刀流を実現できるだけではない。大谷が加入して以降の6年間、プレーオフに出るどころか、一度も勝ち越していないという事実を除けば、グラウンド以外の要望まですべて聞き入れてくれる願ったりかなったりのチームなのだ。