スポーツのプロ化を広告代理店に委ねた競技団体と新聞社の変わらぬアマチュア体質
戦前から、我が国のスポーツをリードしてきたのは競技団体と新聞社だった。厳然たるアマチュア時代で、プロとなれば別世界。金をまとめる、頭を下げる、国際関係……競技団体と新聞社が大の苦手な作業を代理店が買って出た……土足で営業に上がり込んだわけではない。
■代理店の職能にアイデアやモラルの視点はない
電通マンは個人の資格で乗り込み、契約を取りつけ、会社の了解は帰国後だったという。もしノーなら個人の持ち出しだ。当時の電通にはSとかMとかIなど明治維新に出てくる人物の末裔が多く、上流階級で育った彼らはスポーツに通じていたからできた。
博報堂も参入してJリーグ、ゴルフ大会、箱根駅伝まで仕掛け、日本はスポーツ大国になった。被告をかばう気はさらさらないが、電通なしにオリンピックも世界陸上選手権も開催できなかった。これからもできないだろう。
しかし、代理店の職能にアイデアやモラルという視点はない。それを担うべき競技団体と新聞社は、腕を組んで見下ろすアマチュア体質のままで、いまもこの問題に触れようとしない。だから週刊文春なのだ。