後のサブローことPL学園・大村三郎は「隠し玉」としてドラフト4位で指名するつもりだった
大村側には、評価している旨を伝えてはいたものの、実際に指名するためには乗り越えないといけない壁があった。
「サブローは東京の大学に進学する可能性がありました。ウチが指名するためには、大学進学を諦めてもらわないといけない。難しい舵取りにはなりましたが、最終的にはサブローのサイドから、プロ入りの意思を確認することができました」
その当時は高校生、大学生がプロ入りする際に提出が義務付けられている「プロ志望届」はなかった。スカウトがプロ入りの意思を確認、把握する必要があった。
大学進学、社会人への就職を公にした選手であっても、真意を確認し、特定球団が囲い込みをしていないかどうかなどをチェックした。
「指名して、ウチに来るのか来ないのか、そこをハッキリさせないことには、上層部に推薦はできません。それに、ちょっと調べたら、どこの球団が動いているのかも分かる。そうした中でいかにして『隠し玉』を用意するか。それが難しくもあり、やりがいでもありました」
鈴木は、指名さえすれば確実に西武入りする準備を整えた。しかし、そこに割って入ったのがロッテだった。