怪奇・魔界編
「怪異な話 本朝不思議物語」志村有弘編
鎌倉時代から江戸時代に成立した説話を現代語訳した怪談集。
豊前の国速見郡の安倍宗兵衛は、女房を邪険に扱い、病気になっても薬も与えず、ますますつらくあたったので、ついに亡くしてしまった。死の間際、女房は恨み言を口にするが、それでも宗兵衛は葬式も出さず、山中に死骸を捨てる。7日後の夜半、腰から下を血潮に染めて現れた女房は、宗兵衛のそばに寝ていた女を八つ裂きにして、また明晩参ると言い残し姿を消す。宗兵衛は高僧らに祈祷を頼み、武器を用意して備えるが……。(「諸国百物語」)
幽霊や化け物、たたりなど、日本各地で言い伝えられてきた怪異譚を集成。
(河出書房新社 720円+税)