「十字架の王女 特殊捜査班カルテット3」大沢在昌氏
2004年に誕生した物語がいよいよクライマックスを迎える。「特殊捜査班カルテット」シリーズの完結編である。
「もともとテレビドラマ化したいという思いから始動したシリーズで、若い読者に手に取ってもらいたい気持ちはありました。ただ、『ラノベ(ライトノベル)を意識したのか』と随分言われたんだけど、僕自身ラノベを読んだことがないのでよくわかりません(笑い)」
主人公は、何者かに家族を惨殺された過去をもつタケル18歳。怒りを持て余し、純粋さを残す熱い少年だ。もうひとりは中国残留孤児3世のホウ。複雑な生い立ちゆえのアイデンティティーに悩み、絶望と虚無を内包した青年。このふたりを束ねるのが17歳のカスミ。容姿端麗・頭脳明晰だが、国際的犯罪組織のリーダーである父との葛藤を抱えている。
「彼らはプロの捜査官ではないし、反権力的思想もある。言うことを聞かないし、理屈抜きで動く。そんな彼らの“危うさ”が魅力のひとつだと思っています。僕の中でも新鮮なキャラクターでした。普段は冷静な大人を描くことが多いんでね」