アメリカ社会に激震 米大統領で本当に負けたのは誰か?

公開日: 更新日:

■保守の敗北

 次に保守の敗北については中山俊宏著「アメリカン・イデオロギー」(勁草書房 2800円+税)で分析しています。今回の選挙報道でテレビにもよく出ていた中堅の政治学者が3年前に出した論集ですが、ケネディ時代に頂点を極めたリベラルに対抗して成長した保守主義運動が、ブッシュ時代のあと一転して分裂するさまを描いています。この「分極化」現象をさらに長い歴史軸で分析した西川賢著「分極化するアメリカとその起源」(千倉書房 4000円+税)と併読すると、保守陣営の行き詰まりの構造がよくわかります。

 他方、分極化現象を「反動」という視点でとらえるのが会田弘継著「トランプ現象とアメリカ保守思想」(左右社 1800円+税)。著者は元共同通信論説委員長のベテランで、階級社会のヨーロッパで継承される保守主義とは違うアメリカ型の保守主義が、宗教的な回心への強烈な衝動を内に抱えながら「南北戦争以前の記憶を秘めた、公民権法以前のアメリカ」に回帰しようとしたところに「トランプ現象」が生まれた、と解いてゆく。その意味でトランプは実体というより「象徴」なんですね。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 3

    大谷も仰天!佐々木朗希が電撃結婚!目撃されたモデル風美女に《マジか》《ビックリ》

  4. 4

    井上中日が「脱立浪」で目指す強打変貌大作戦…早くもチームに変化、選手もノビノビ

  5. 5

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  2. 7

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  3. 8

    “透け写真集”バカ売れ後藤真希のマイルドヤンキーぶり…娘・希空デビューの辻希美とともに強い地元愛

  4. 9

    爆笑問題・太田光のフジテレビ番組「休止の真相」判明 堀江貴文氏“フジ報復説”の読みハズれる

  5. 10

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ