読んで納得「異常気象本」お薦め5冊
「人類と気候の10万年史」中川毅著
異常気象や温暖化という言葉がすっかり定着し、気候変動に伴う災害に関心が集まっているが、人間の時間軸から離れて地球にとって何が正常な気候かという視点から考えてみたらどうだろう。
本書は、古代からの地球気候史という視点で気候変化に着目。数十万年というスケールで振り返れば、正常なのは地球が氷で覆われた「氷期」であり、今はむしろ例外的に温暖な時代であると指摘する。
また、福井県の水月湖に堆積する「年縞」が年代測定の世界標準の目盛りとして用いられており、その年縞によれば現代の温暖化よりももっと過激な「激変する気候」が存在していたことも分かっている。
こうした激変期には、農耕と近代科学を前提とした今の地球人口を支えきれないことは明らかだ。しかし私たちの祖先は、環境の激変期を生き延びた経験がある。人間が本来持つ想定外に対応できる柔軟な知恵やオリジナリティー、多様性こそが、人類存続の鍵になるのではないかと説いている。(講談社 920円+税)