薬の専門家が教える“薬いらず”になる健康法
「薬のいらない健康な生き方」千葉良子著
日本薬科大学客員教授である薬剤師の著者は、“薬はリスク”と言い切る。西洋医学の薬は化学薬品であり、すべての化学薬品には致死量があり、副作用とはその前段階にあるもの。そのことをもっとも熟知しているのが薬剤師であり、自身が病気になっても薬との付き合いを最小限に抑え、その分、薬に頼らずに済む健康法も数多く知っているそうだ。本書では、日々の生活の中で手軽にできる健康法を、科学的データをもとに紹介している。
緑豊かな森の中を歩くと心身ともに癒やされるが、実際に森林浴には血圧を下げる効果があることが分かってきた。森林内を歩行すると森林外と比べて収縮期血圧が15~20㎜Hg低下し、ストレスホルモンも減少するというデータがある。
都会暮らしでは頻繁な森林浴は難しいが、室内にスギやクロモジなどの芳香を拡散させて疑似森林浴状態をつくった実験でも、一定の効果が表れるという。
加齢に伴いドライマウスになる人も増えてくるが、唾液の分泌量が減少すると口の中の細菌が増殖しやすくなり、免疫力が低下して風邪や肺炎のリスクが高まる。また、糖尿病や心疾患とも関連するといわれる歯周病も悪化しやすくなる。これらを防ぐためには、顎マッサージの習慣化がお勧めだと本書。耳の下から顎の下までを4~5カ所に分けて親指で押しながら、「アイ、アイ」と声を出してみよう。唾液量の増加で免疫力も強化され、薬に頼らない体づくりにつながるはずだ。 (ダイヤモンド社 1300円+税)