「おむすびのにぎりかた」宮本しばに文、野口さとこ写真
日本人のソウルフード「おむすび」がひそかなブームだ。精米店が営むおむすび屋や雑穀おむすびの専門店、そして酒とおむすびのマリアージュを楽しむBarなども登場し人気を集めている。一方で、我が家のおむすび、あるいは母親のつくってくれたおむすびに勝るものはないと感じる人も多いだろう。
宮本しばに文、野口さとこ写真「おむすびのにぎりかた」(ミシマ社 1500円+税)では、さまざまな職業の人たちが自分や家族のために握る“お店では買えない”おむすびを紹介。それぞれの人生観が表れたおむすびの詳しいレシピも掲載している。
長野県で昔ながらの製法で醤油を製造している大久保醸造店。人の手で醤油を造りたいと生産量を限定し、原料選びから製品になるまで一切手抜きはない。そんな大久保醸造店の3代目である大久保文靖さんのご自宅では、日々の食事にもこだわり、生産者が分かっている食材しか口にしないという徹底ぶり。おむすびの具材も自家製で、梅干しやたくあん、ミョウガやウリの味噌漬けなど。お気に入りの食べ方は焼きおむすびで、具材を入れて小さめに握ったら、根深ねぎとあわせた味噌か、大久保醸造店の「甘露醤油」を塗り、いろりで香ばしく焼き上げる。手間暇かけた食材が合わさって、足し算どころか掛け算となった味わい深いおむすびの完成だ。
減量とエネルギー補給を両立させる、シュートボクシング日本女子バンタム級の高橋藍さんがつくる雑穀米+サバのおむすびや、岐阜県にある蓮華寺の住職・羽賀浩規さんが復興支援でもつくった、ひじきしぐれを具材に味付けのりを巻いたおむすびなども紹介。あなたにもこだわりのおむすびがあるはずだ。