「短編ミステリの二百年 1」モーム、フォークナー他著、小森収編

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 戦場の塹壕の中で、ドイツ軍と対峙する私たちのつかの間の休息は、砲弾で穴だらけになった小食堂でのひと時だけ。ある日、私は「幸運のウサギ」という小食堂で隣り合わせたフランス軍兵士に声を掛けられる。その男は、叔母が営む故郷の養鶏場で何代もの交配の末に、四角い卵を産むメンドリをつくり出したと誇らしげに話し出す。しかし、前線に送り出されたために、事業は叔母に引き継がれ、びた一文も手にすることができないと嘆く。男は叔母から金を取り戻すための訴訟費用を用立てしてくれないかと言い出す。(サキ著「四角い卵」)

 この200年に発表された短編ミステリーから厳選した作品と、それらを論じた評論で構成するアンソロジー。第1巻の本書には、他にモームなど12編を収録。

(東京創元社 1300円+税)

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