「美意識の値段」山口桂著
著者は老舗オークションハウスで長年、スペシャリストとして日本美術を担当。スペシャリストとは、美術品を扱うための専門知識を持ち、その分野の作品の「鑑定」と「査定」ができる人のことだという。本書は知られざるスペシャリストの仕事と、美術品に「価値付け」がなされる舞台裏を明かす業界内幕エッセーである。
スペシャリストの仕事の中でも、最も重要で、エキサイティングなのが「モノ(美術品)との出合い」。出合いの場はさまざまで、時にはホテルの駐車場の車の中や、新幹線のデッキだったこともあるという。至宝のごときモノと出合うための秘訣をはじめ、個性豊かな顧客たちや真の見分け方、そして美意識の磨き方まで。アートにまつわるエピソード満載の美術ファン必読本。
(集英社 840円+税)